最終更新:2026年10月30日
プロ野球のFA(フリーエージェント)移籍に伴う「人的補償」は、2027年と2028年のシーズンオフの2年間、廃止されることが決まりました。日本野球機構(NPB)が2026年10月30日に発表し、プロ野球選手会との合意と12球団の持ち回り実行委員会での可決を経て正式決定しています。
代わりの補償はドラフト指名権の譲渡か金銭です。29年以降の制度は、この2年間の運用状況を見て再検討されます。
あわせて、FA権を行使した翌年の4月1日時点で35歳以上の選手は、今オフ(2026年オフ)からランクにかかわらず補償が全面的に不要になります。
人的補償撤廃のポイントまとめ
- 今オフ(2026年オフ):35歳以上は補償が全面的に不要
- 27年・28年オフ:人的補償を廃止し、ドラフト指名権か金銭で補償
- 29年以降:27・28年オフの運用状況を見て再検討(現時点では未定)
人的補償の撤廃はいつから?変更の3段階
変更は3段階です。
- 今オフ(2026年オフ):35歳以上は補償が全面的に不要
- 27年・28年オフ:人的補償を廃止し、ドラフト指名権か金銭で補償
- 29年以降:27・28年オフの運用状況を見て再検討(現時点では未定)
今回決まった変更点は2つ
1. 35歳以上は今オフから補償が全面的に不要
FA権を行使した翌年の4月1日時点で35歳以上の選手が移籍する場合、獲得球団から旧球団への補償は金銭・人的ともに不要になります。ランクにかかわらず適用され、ベテラン選手の移籍を円滑にするのが狙いです。
2. 27年・28年オフは人的補償を廃止し、ドラフト指名権か金銭へ
2027年と2028年のシーズンオフは、選手による補償(人的補償)がなくなります。代わりに次の補償になります。
- Aランクの選手:翌年ドラフトの2巡目の指名権
- Bランクの選手:翌年ドラフトの3巡目の指名権
旧球団は最初に「指名権」か「金銭」のどちらかを選びます。獲得球団が指名権の譲渡を避けたい場合は、両球団間の交渉で金銭による解決も可能です。金銭補償の目安は、Aランクが年俸の80〜130%、Bランクが60〜100%です。
なお、Bランク8位のみ、指名権の譲渡はなく、金銭も年俸の60%のみとなります。
今オフの対象は誰?(筒香嘉智のケース)
報道では、今年の対象としてDeNAの筒香嘉智選手が挙げられています。筒香選手は1991年11月26日生まれで、2027年4月1日時点で35歳になります。FA権を行使して移籍する場合は、獲得球団から旧球団への補償が一切不要になります。
ただし、筒香選手がFA権を行使するかどうかは、本記事の更新時点で確認できていません。去就が決まり次第、追記します。
現行制度と新制度の違い(比較表)
| 項目 | 現行制度 | 27・28年オフ |
|---|---|---|
| 補償の形 | 人的補償+金銭、または金銭のみ | ドラフト指名権、または金銭 |
| Aランク | 年俸1〜3位 | 年俸1〜3位(変更なし) |
| Aランクの補償 | 人的補償+年俸の50%、または金銭のみ80% | 2巡目指名権、または金銭(80〜130%が目安) |
| Bランク | 年俸4〜10位 | 年俸4〜8位 |
| Bランクの補償 | 人的補償+年俸の40%、または金銭のみ60% | 3巡目指名権、または金銭(60〜100%が目安)。8位は金銭60%のみ |
| Cランク | 11位以下・補償なし | 9位以下・補償なし |
| 35歳以上 | ランクにより補償あり | 補償なし(今オフから) |
※ランクは、外国人選手を除くチーム内の年俸順位で決まります。
人的補償とは何か
人的補償とは、FA権を行使して移籍した選手の旧所属球団が、補償として移籍先球団の選手を指名して獲得できる制度です。FA制度全体の仕組みはプロ野球FA制度の解説にまとめています。
現行制度では、FA選手はランクによって補償の内容が変わります。A・Bランクの選手が移籍すると、旧球団は「人的補償+金銭」か「金銭のみ」を選べます。人的補償を選ぶ場合、移籍先球団がプロテクトした28人のほか、直近のドラフトで指名された選手と外国人選手を除く中から1人を指名できます。Cランクは補償が不要です。
選手会は長年、人的補償が移籍の妨げになるとして撤廃を求めてきました。獲得する側は主力級の選手を失う可能性がFA参戦のハードルになり、補償で移る選手にとっても突然の移籍は負担が大きいためです。2018年オフには、巨人の内海哲也投手が西武へ、長野久義選手が広島へ人的補償で移籍し、大きな話題になりました。
合意までの経緯
今回の合意までには曲折がありました。7月3日の事務折衝では、選手会がNPBの代替案に難色を示し、撤廃自体が白紙に戻る可能性にも言及していました。8月12日の折衝でも、選手会はNPBのドラフト指名権案を受け入れていません。その後の協議を経て、今回の合意に至りました。
このオフへの影響(筆者の見方)
人的補償の廃止は来年オフからですが、35歳以上の補償不要は今オフから始まります。ベテランのFA選手は、獲得球団が補償を気にせず動けるため、例年より移籍が活発になる可能性があります。
来年オフ以降は、「ドラフト2巡目を失ってでも獲る選手か」が球団のFA戦略の中心になりそうです。有望な若手を人的補償で失うリスクはなくなりますが、指名権の価値は球団によって評価が分かれます。旧球団が指名権と金銭のどちらを選ぶかも見どころです。
よくある質問(人的補償撤廃について)
Q. 人的補償の撤廃はいつからですか?
A. 2027年と2028年のシーズンオフです。この2年間はドラフト指名権か金銭による補償になります。
Q. 35歳以上の補償不要はいつからで、年齢はどう数えますか?
A. 2026年オフからです。FA権を行使した翌年の4月1日時点で35歳以上かどうかで判定し、ランクにかかわらず金銭・人的とも補償が不要になります。
Q. ドラフト指名権は何巡目ですか?
A. Aランクは2巡目、Bランクは3巡目です。旧球団は指名権ではなく金銭補償を選ぶこともできます(Bランク8位は金銭のみ)。
Q. Cランクの選手はどうなりますか?
A. もともと補償の対象外で、新制度でも補償はありません。対象のランクが現行の11位以下から9位以下に広がります。
Q. 29年以降はどうなりますか?
A. 27・28年オフの運用状況を見て再検討されます。どんな制度になるかは、現時点で決まっていません。
出典:日本野球機構(NPB)発表に基づく2026年10月30日付の報道(日刊スポーツ、中日スポーツ、スポニチ、東京スポーツ)

