2026年9月9日、Sigmaから待望の「85mm F1.2 DG DN | Art」が発表されました。
発売は9月30日、公式直販での予約開始は9月10日10時、価格は25万3,000円です。
この記事では、スペックの羅列やニュースの受け売りはしません。焦点は以下の3つのみです。
- 既存のF1.4ユーザーは乗り換えるべきか?
- Sony FE 85mm F1.4 GM II との違いは何か?
- 25.3万円を出す価値があるのは、どんな撮影者か?
まずは、結論からお伝えします。
結論:急いで買うべき人と、そうでない人
- 唯一の選択肢になる人: Eマウント/Lマウントで、ポートレートなどの主戦場において「AF付き85mm F1.2」のボケと描写がどうしても必要な人。
- 見送っていい人: 現在の Sigma 85mm F1.4 DG DN | Art の描写に満足している人。先行レビューでも「写りの個性が違う」と指摘されています。
- 機動力重視の人: 持ち歩きやすさやAFの追従性を最優先するなら、Sony FE 85mm F1.4 GM II の方が現実的な選択肢になることが多いです。
※本記事は発売前の先行情報に基づく「購入判断のための整理」です。
1. 数字で見る現実:何が引き換えになるのか?
| 比較項目 | Sigma 85mm F1.2 DG DN | Art | Sigma 85mm F1.4 DG DN | Art | Sony FE 85mm F1.4 GM II |
| 開放F値 | F1.2 | F1.4 | F1.4 |
| 重量 | 905g | 625g(E)/ 630g(L) | 約642g |
| フィルター径 | 82mm | 77mm | 77mm |
| 長さ | 121.7mm (Eマウント) | 96.1mm (Eマウント) | 107.3mm |
| 価格(目安) | 直販 約25.3万円 | 実売 約10〜11万円 | 実売 約24万円 |
| 発売時期 | 2026年9月30日 | 2020年8月 | 2024年9月 |
数字を比較すると、F1.2の本質が見えてきます。
これは「1段の明るさを得る代わりに、F1.4より約280g重く、約15万円高い」レンズです。
例えば、α7R IIIクラスのボディ(約657g)に装着した場合、総重量は1.5kgを優に超えます。この物理的なトレードオフを曖昧にすると、購入後に後悔することになります。
2. 発表時点で分かっている「生の声」
現時点で信頼できる先行レビューや、実機に触れた人の声を抽出しました。
① ポートレートのプロフェッショナル、シノタク氏の先行レビュー
最も具体的で説得力があるのが、発表当日にいち早く公開されたシノタク氏(@Takumi_Shinoda)の先行動画レビューです。
同氏は、YouTubeチャンネル「SHINOTAKU ch」などを通じてポートレート撮影の理論やレタッチ技術を発信しているプロフォトグラファー(篠田工 氏)です。専門誌『コマーシャル・フォト』でSigmaのF1.2シリーズ(50mm F1.2 DG DN | Artなど)の新製品レビューを担当するなど、同社レンズの光学特性を熟知している人物でもあります 。
そのプロの目線から、明確に以下の点が指摘されています。
- 「シャープでありながら、優しい写りをするレンズ」
- 既存のF1.4モデルとはF値の違いだけでなく、かなり個性が異なる写りをする。F1.4の上位互換という単純な位置づけではない。
SigmaのArtレンズを知り尽くした第一線のプロが「単なるF1.4の明るい版ではない」と評価していることは、私たちが「本当に乗り換えるべきか」を判断する上で非常に強力な指標になります。
② 海外主要メディア・レビュアーの評価傾向
発表と同日に解禁された英語圏の主要メディアでは、以下のような具体的な評価が下されています。
- PetaPixel(Chris Niccolls氏): 「開放から極めてシャープ」「逆光時のフレアは嫌味でなく作画に活かせる美しい方向性」「E/LマウントでAF付き85mm F1.2は現在これしかない」と光学性能の高さと独自性を高く評価。
- Amateur Photographer(Angela Nicholson氏): 「AFは速く静か」「ボケが滑らかで被写体分離が強い」と絶賛しつつも、見落とせない弱点として「長時間の撮影では重さが負担」「F1.2のピント精度はシビア(撮影者の技術が要求される)」と指摘。
- The Phoblographer(Chris Gampat氏): 解像度の高さを評価しつつ「完成度は高いが驚きは少ない」として5段階中4点の評価。また、旧世代のボディ(Leica SL2sなど)ではAFに不満が出るケースへの言及もありました。
- FroKnowsPhoto(Jared Polin氏): 「目のシャープさと背景の潰れ方」を評価。他社の1.2kg超えのレンズ(Canon RF 85mm F1.2)を運用した経験と比較し「この重さ(905g)なら持ち歩ける」と言及。
総じて「光学性能は文句なしの最高クラスだが、重さとピントのシビアさには覚悟が必要」という点で意見が一致しています。
3. 徹底比較:どちらを選ぶべきか?
VS. Sigma 85mm F1.4 DG DN | Art(乗り換え検討)
実売10万円前後、重量625gのレンズから乗り換える意味はあるのでしょうか。
- ボケ量は確実に増える: 85mmにおけるF1.2とF1.4の差は意外と大きく、背景を完全に溶かしたい用途では明確な差が出ます。
- 描写の味が違う: 「同じ味のまま明るくなったレンズ」ではありません。今のF1.4の描写が好きなら、手放すと後悔する可能性があります。
- 機動力と資産のロス: フィルター径が77mmから82mmになるため、手持ちの資産は流用できません。
【結論】 既存のF1.4のボケ量や明るさに不足を感じる具体的な場面がある人だけが乗り換えの対象になります。
VS. Sony FE 85mm F1.4 GM II(Sonyユーザー最大の迷いどころ)
価格帯が近いため、最も悩ましい比較です。
- GM II の強み: 642gという圧倒的な軽さ。そして純正ならではの強力なAF追従性。
- F1.2 Art の強み: F1.2という唯一無二の明るさとボケ表現。
【結論】 イベント撮影などで歩き回るなら、約260g軽いGM IIの恩恵が絶大です。一方、ここぞという決めカット中心の撮影スタイルなら、F1.2を選ぶメリットが勝ります。
4. 最終診断:買うべき人、見送るべき人
CanonやNikonの85mm F1.2(30万円超)と比較すれば「安い」かもしれませんが、現実的な比較対象は手元のレンズやGM IIです。25.3万円は決して安くありませんが、「E/LマウントでF1.2の描写を手に入れるための、妥当な投資額」と言えます。
✅ 買っていい人
- EマウントかLマウントで、AF付き85mm F1.2が喉から手が出るほど欲しい。
- スタジオ撮影、スナップポートレートなど「決めカット」が主戦場。
- 実際の撮影現場で「F1.4のボケでは足りない」と感じるシーンがある。
- 総重量1.5kgオーバーのシステムを振り回す覚悟がある。
❌ 見送りでいい人
- 現在 85mm F1.4 Art や 85mm GM II を愛用しており、描写への不満がない。
- F1.2の極薄の被写界深度で、毎回確実に瞳へピントを置く自信がない。
- 25万円をレンズ1本に投資するより、Godox AD200Proクラスの照明機材を揃えてライティングの幅を広げたほうが撮影体験が向上する人。
5. 最新の価格と在庫状況をチェックする
Sigma 85mm F1.2 DG DN | Art は、E/Lマウントユーザーにとって待望のスペックであるため、初回ロットを逃すと長期間の入荷待ちになる可能性が高いクラスのレンズです。
「自分の撮影にはF1.4ではなく、F1.2が必要だ」と決断した方は、買い逃しを防ぐためにも各ショップの予約ページから最新の状況を確認してみてください。
(※既存のレンズを下取りに出す場合は、マップカメラなどの交換買取(ワンプライス買取)を利用すると実質負担額を大幅に抑えられます。フィルター径が82mmに変わるため、保護フィルターの同時購入も忘れずに。)
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